一般的に、やわらかい便や水のような便が出ることを下痢と言いますが、便の
状態にも個人差があります。いつも便がやわらかいが、体調に問題はないとい
う場合は、下痢とはいいません。
水っぽい便が普段よりも回数多く出たり、排便時にお腹が痛むなどの不快な症
状を伴う場合を、下痢といいます。
現代の西洋医学では薬を使って下痢を止めようとしますが、整体法では特別な
場合を除き、下痢を止めるようなことはしません。なぜらな、人間の体には不
必要なもの、害になるものが体内に入ってきたとき、それを外に出そうとする
働きが備わっており、下痢もその手段のひとつだからです。
例えば、痛んで悪くなった食べ物、食中毒を起こすような細菌やウイルスが付
着した食べ物を、うっかり食べてしまったとします。このとき下痢をして、さ
っさとそれらを体の外に出してしまえば、せいぜい腹痛程度の被害ですむので
す。
しかし、無理に下痢を止めると、大変なことになります。細菌が腸内で繁殖し
て大量に毒素が出されて、体が大きなダメージを受けてしまうのです。下痢を
止めることにより、激しい頭痛、嘔吐、発熱のほか、命を落とすことさえあり
ます。
ちなみに、嘔吐も悪いものを排泄する手段のひとつです。下痢だけでは排泄が
間に合わないような毒性の強い物質が入ってきた場合には、嘔吐も一緒に起こ
ります。また、薬で下痢を止めた場合も、それにかわる手段として嘔吐が起こ
ります。
とはいえ、長く下痢が続けば体が弱ってしまいますから、対策が必要です。こ
の場合、体が刺激に対して過剰に反応してしまったと考えられるので、脊柱を
ゆるめる体操で、体の中心部の緊張をほぐしましょう。下痢の症状が落ち着い
てきます。
この体操は、精神的なストレスが原因で起こる、過敏性の下痢にも効果があり
ます。すぐには効果が現れないかもしれませんが、続けることにより、次第に
よくなっていきます。
〈脊柱をゆるめる体操〉
1.手を前からゆっくり上にあげ、両手足で背骨を思いきり伸ばす。このとき、アキレス腱は伸ばし、かかとを突き出すようにする。
2.背骨を伸ばしきって2、3呼吸耐えたあと、全身の力をポンと抜く。
下痢の時の腹痛をやわらげるには、蒸しタオルが有効です。痛い部分に温かい
蒸しタオルを当てて、冷めたら取り替える処置を数回繰り返します。
蒸しタオルは、神経過敏生の下痢にも効果があります。こちらは痛みがあって
もなくても、お腹に蒸しタオルを当てるようにします。繰り返しているうち
に、腸の過敏反応がおさまってきます。